こんにちは。佐々木真由美と申します。神奈川県で在宅介護をしながら、80代の母とふたり暮らしをしています。
在宅介護を続けるなかで、たくさんの悩みや壁にぶつかりながらも、少しずつ試行錯誤を重ねてきました。自宅で親の介護を経験し、生活の中で感じたリアルな気づきや工夫を、同じような立場にいる方に届けたいという思いで情報発信をしています。
介護の負担を一人で抱え込まず、ときには制度やサービスをうまく活用しながら、無理のない介護生活を一緒に目指していきましょう。
介護が必要になったとき、まず最初に関わることになる専門職のひとりが「ケアマネジャー（介護支援専門員）」です。介護保険サービスを実際に利用するためには、このケアマネジャーと契約し、ケアプラン（介護サービス計画）を作成してもらう必要があります。ケアマネジャーは、介護生活のスタートにおいて欠かせない、いわば“最初の窓口”のような存在です。
とはいえ、私も母の介護を始めた当初は、「そもそもケアマネジャーってどんなことをしてくれるの？」「どんな人を選べばいいの？」といった疑問だらけでした。制度の説明を読んでもどこかピンとこず、不安と混乱の中で地域包括支援センターに相談へ行ったのを覚えています。
実際にケアマネジャーさんと関わりはじめてから、その存在がいかに大きいかを痛感するようになりました。介護サービスの種類を一緒に考えてくれたり、私の悩みに耳を傾けてくれたり、母に寄り添ったアドバイスをしてくれたり——ケアマネジャーは単なる事務手続きの窓口ではなく、家族と高齢者にとっての“伴走者”なのだと気づかされたのです。
この記事では、ケアマネジャーの基本的な役割をわかりやすく解説し、私が母の在宅介護を通して実際に感じた「信頼できるケアマネジャーさんの選び方」についても、体験談を交えてお伝えします。これから介護を始めようとする方が、少しでも安心して一歩を踏み出せるよう、丁寧にお届けしていきます。
ケアマネジャーとは？｜介護の“司令塔”のような存在
ケアマネジャーは、介護保険制度の中核を担う専門職で、要介護者とその家族にとって最も身近で頼れる存在のひとりです。介護の現場において、単なる調整役にとどまらず、“生活の質を保つためのプランナー”として大きな役割を果たしています。
●要介護認定後の「ケアプラン（介護サービス計画）」の作成
●本人や家族の希望・課題に基づいたサービス内容の調整と提案
●訪問介護・通所介護（デイサービス）・訪問入浴・福祉用具レンタルなど、各事業所との連絡調整
●月1回以上の定期訪問で、心身の状態や生活状況の確認
●状況の変化に応じたサービス見直しや更新のサポート
こうした業務を通して、ケアマネジャーは「今の暮らしに何が必要か」「どんな支援があれば本人と家族がより快適に暮らせるか」を一緒に考えてくれる、いわば“介護の司令塔”のような存在です。
私が初めてケアマネジャーさんとお会いしたのは、母が要介護2と認定された直後のことでした。自宅に来てくださったその女性は、穏やかな表情で「まずは、ゆっくりお母さまの生活のお話を聞かせてください」と優しく声をかけてくれました。
それまで私は、「介護サービス」と聞くだけでなんとなく堅苦しい、制度的な対応をされるイメージを持っていたのですが、その第一声で緊張がすっとほぐれたのを今でも覚えています。
実際のやりとりの中では、母の食事・排泄・移動・睡眠といった生活全体を丁寧にヒアリングしてくださり、必要な支援内容をひとつひとつ提案してくれました。「できるだけ本人のペースを大事にしたい」という私の希望にも寄り添ってくれて、押しつけがましくないやり方で、私たち家族を支えてくれたのです。
ケアマネジャーさんとの最初の出会いが、介護生活における心の支えになることもあると思います。何が正解か分からない中で、少しずつ一緒に道を探してくれる存在。それが私にとってのケアマネさんでした。制度やサービスに不安があるときこそ、信頼できるプロに頼っていいんです。
ケアマネジャーを選ぶには？｜信頼関係が何より大切
ケアマネジャーは、市町村や地域包括支援センター、または居宅介護支援事業所を通じて紹介してもらうのが一般的な流れです。しかし、実際に担当になった方が必ずしも家族や本人に合うとは限らない、という現実もあります。
私自身、最初に担当してくださったケアマネジャーさんとは、どうにもペースが合わず、提案されるケアプランもどこか形式的で「これで本当に母の生活が支えられるのだろうか？」と感じることがありました。遠慮しがちな性格もあって、なかなか自分の不安を口に出せずにいたのですが、あるとき思い切って担当替えをお願いしました。
その結果、次に出会ったケアマネジャーさんは、こちらの話をじっくりと聞いてくれる方で、母の性格や暮らしぶりをよく理解しながら、柔軟に提案をしてくれる人でした。おかげで、私自身も日々の介護への不安が大きく軽減され、母も安心してサービスを利用できるようになりました。
信頼できるケアマネジャーを選ぶために、私が特に大切だと感じたポイントは以下の通りです。
●話をよく聞き、こちらの話を途中で遮らないか
●本人・家族双方の希望をバランスよく汲み取ってくれるか
●専門用語を使わず、誰にでもわかる言葉で説明してくれるか
●状況や変化に応じて、臨機応変な対応をしてくれるか
●定期訪問だけでなく、必要に応じて臨時訪問にも柔軟に対応してくれるか
何より、「この人にだったら相談できる」と自然に思えるかどうか。介護生活は長期戦になることが多いので、安心して話せるパートナーを持つことはとても大きな支えになります。
ケアマネジャーさんを選ぶときに大切なのは、肩書きや経験年数だけではありません。自分たち家族に寄り添ってくれるか、気持ちを受け止めてくれるか。私はその温かさに何度も助けられました。皆さんにも、心から信頼できるケアマネさんとの出会いがありますように。
良いケアマネさんとの出会いが、介護の質を左右する
介護は、一人ではどうしても限界があります。家族だけで抱え込もうとすると、心身ともに疲弊してしまうのは自然なことです。だからこそ、ケアマネジャーという“伴走者”の存在は、介護生活を大きく支えてくれる貴重な存在になります。
私自身も、母の介護を通して痛感しました。最初は何もわからず、不安と孤独の中で手探りの日々。しかし、信頼できるケアマネジャーさんと出会えたことで、少しずつ視界が開けていきました。専門的な知識だけでなく、私たち家族の想いに寄り添いながら一緒に最善策を考えてくれる存在——それが本当に大きな支えになったのです。
この記事が、これからケアマネジャーを探す方、今の担当に悩んでいる方の一助になれば、これ以上嬉しいことはありません。誰もが納得できる介護の形を目指して、一歩一歩進んでいきましょう。
介護は正解がひとつではないからこそ、信頼できる人と一緒に悩みながら歩むことが必要だと私は思っています。良いケアマネジャーさんと出会えたことで、私はずいぶん心が軽くなりました。あなたにも、心から信頼できる伴走者との出会いがありますように。
